胎動の数え方|助産師が教える胎動10回法の手順

妊娠後期に入って「胎動を数えてみましょう」と言われたとき、やり方の核心はとてもシンプルです。赤ちゃんがよく動く時間を選び、左側を下にして横になり、動きを10回数える — これだけです。多くの赤ちゃんは2時間以内、しばしば30分もかからずに10回に達します。もし2時間たっても10回に届かないなら、その日のうちにかかりつけ医に連絡してください。

これが、胎動の数え方のすべてです。このページの残りでは、それをうまく行うコツ、いつ数えるか、そして — いちばん大切な部分 — ただ静かな日と、電話したほうがよい本当の変化を、どう見分けるかをお伝えします。

要点

  • 数えはじめる目安は妊娠32〜34週ごろ。 かかりつけ医から早めにと言われている場合は、その指示に従ってください。
  • 赤ちゃんがよく動く時間に数える — 食事のあとや夜が、多くの方に向いています。
  • 左側を下にして横になり、静かな場所で、蹴る・回る・押すをひとつずつ数えます。
  • 目標は10回。 多くの赤ちゃんは2時間以内、たいていはもっと早く10回に達します。
  • その子の「いつも」を知ること。 回数そのものより、いつもよりはっきりと、続けて減っているかどうかが大切です。
  • 2時間で10回に届かない、またはいつもより明らかに少ないときは、かかりつけ医へ。 待たないでください。

そもそも「胎動を数える」とは、どういうことですか?

胎動を数えること(胎動カウント)は、決まった時間のなかで、赤ちゃんの動きにていねいに意識を向けるだけのことです。合格・不合格を決めるテストでもなければ、医療機器でもありません。これは、赤ちゃんのふだんの動き方に慣れて、はっきりとした変化があったときに気づけるようにするための、ひとつの方法です。

いちばん広く使われているのが、胎動10回法です。数えはじめた時刻を控え、はっきりした動きを10回数えるまでの時間を見ます。日本産科婦人科学会をはじめ、産婦人科医が監修する情報でも、10回の胎動を感じるまでの時間に目を向ける考え方が紹介されています。

なぜ、これが大切なのでしょうか。赤ちゃんの動きは、あなた自身が、いつでも、無料で確かめられる、いちばん身近なサインのひとつだからです。胎動がはっきりと減ることは、赤ちゃんの様子をみてもらったほうがよいときの、最初の手がかりになることがあります。早く気づくこと — それがこの方法の、いちばんの目的です。

胎動の数え方(胎動10回法)の手順

多くの助産師がお伝えしている、胎動10回法の手順です。

  1. 赤ちゃんがよく動く時間を選びます。 食事のあと、冷たいものを飲んだあと、夜にようやく腰を下ろしたとき — 動きやすい時間は、赤ちゃんによって違います。その子に合った時間を見つけましょう。
  2. 左側を下にして、横になります。 静かな場所で、左側を下にして横になってください。動きながらだと見逃しがちな小さな動きも、横になると感じとりやすくなります。
  3. 始めた時刻を控えて、数えはじめます。 開始時刻をメモするか、アプリで記録を始めます。紙のノートとアプリ、どちらでもかまいません。続けやすいほうの選び方は、胎動カウントアプリの選び方(夫婦共有とプライバシー)をご覧ください。
  4. 10回になるまで、1回ずつ数えます。 蹴る・ぐるりと回る・押す・ピクッとする — どれも1回です。長くゆっくりした動きは、まとめて1回と数えます。ひとつずつ数えていきましょう。
  5. どのくらいかかったかを確かめます。 多くの赤ちゃんは2時間以内、しばしば30分以内に10回に達します。かかった時間を控えておくと、1〜2週間でその子の「いつも」が見えてきます。
  6. 2時間で10回に届かないときは、かかりつけ医へ連絡します。 2時間たっても10回に届かない、またはいつもよりはっきりとペースが遅いと感じたら、その日のうちにかかりつけ医に相談してください。

最後の手順が、いちばん大切です。それ以外はすべて、最後の手順を安心して踏めるように、ふだんから慣れておくためのものです。

数えるのに、いちばんよい時間はいつですか?

いちばんよいのは、赤ちゃんがふだん最もよく動く時間です。数えるためには、動きがある時間を選ぶのが理にかなっているからです。多くの方にとっては、食事のあとや、自分の動きが落ち着いて胎動を感じとりやすいが向いています。

毎日まったく同じ時刻に数える必要はありませんし、1日に何度も数える必要もありません。生活のリズムと、赤ちゃんの動きやすい時間に合わせて、ひとつの時間帯を選びましょう。だいたい同じ時間に数えると、ふだんよく動く時間が静かなときに気づきやすくなります。詳しくは胎動を数えるタイミングと、いつから始めるかもご覧ください。

10回数えるのに、どのくらい時間がかかりますか?

多くの場合、10回の胎動は2時間以内、しかもはじめの20〜30分で感じられます。赤ちゃんが眠っているあいだ — 赤ちゃんはおよそ20〜40分の眠りをくり返します — は、しばらくほとんど動かず、目覚めるとまとめてよく動くこともあります。

早く10回に達したら、それで終わりです。それ以上続ける必要はありません。逆に、2時間に近づいても10回に届かないなら、それ自体が連絡の合図です。所要時間の目安については、胎動10回法は何回・どのくらいの時間が目安かでくわしくお伝えしています。

何を「1回」と数えればいいですか?

感じたものは、どれも1回です。蹴る、押す、ぐるりと回る、すべるような動き、ピクッとした動き。妊娠後期に入ると、赤ちゃんが大きくなって余裕がなくなり、鋭い「キック」のような動きから、ぐるりと回ったり押したりする動きへと変わっていきます。これは、ごく自然なことです。見ているのは動きの種類ではなく、いつもと比べた動きのです。

ひとつ知っておいていただきたいことがあります。お産が近づいても、胎動は減りません。「臨月になると動きが減る」というのは、よくある誤解です。陣痛が始まってからも、赤ちゃんは動きます。もしはっきりと減ったと感じたら、それは「そういうもの」ではなく、確かめる価値のあることとして受けとめてください。妊娠後期の動きの変わり方は、妊娠後期に胎動はどう変化するかでもお伝えしています。

いつから数えはじめればいいですか?

日本では、胎動を数えはじめる目安は妊娠32〜34週ごろとされることが多くなっています。この時期になると、動きが強く、はっきりしてきて、量を意識しやすくなるためです。欧米では28週ごろからとされることもありますが、日本の産婦人科や助産師の手引きでは、32〜34週を目安とするのが一般的です。リスクの高い妊娠では、もっと早くから、あるいはより丁寧に数えるよう言われることもあります。一般的な目安よりも、かかりつけ医の指示を優先してください。

どんなときに、かかりつけ医に連絡すればいいですか?

次のようなときは、その日のうちにかかりつけ医に連絡してください。

  • 数えていて、2時間たっても10回に届かないとき。
  • 赤ちゃんの動きが、いつもよりはっきりと少ない、または弱いと感じるとき。
  • これまで慣れてきたパターンに、急な変化を感じたとき。
  • 食事をして、冷たいものを飲み、左側を下にして2時間横になっても、まったく動きを感じないとき。

翌日まで待たないでください。アプリやグラフが「確認」してくれるのを待つ必要もありません。何かおかしいと感じたら、その感覚こそが最初の「計器」です。迷ったら、連絡を。産婦人科は、結果的に元気だった赤ちゃんを確かめることを、いつでも歓迎しています。胎動が減ったときの動き方については、胎動が少ない・減ったと感じたとき(妊娠後期)をご覧ください。

よくある質問

仰向けで数えてもいいですか? 妊娠後期は、仰向けよりも横向き(左側を下に)をおすすめします。後期に長く仰向けになると、大きくなった子宮が背中側の血管を圧迫し、気分が悪くなったり、赤ちゃんの動きを感じにくくなったりすることがあります。横になるなら左側を下に。それだけで、胎動はぐっと感じやすくなります。

数えるのを毎日忘れてしまいます。だめですか? 大丈夫です。毎日きっちり数えること自体が目的ではありません。大切なのは、その子のふだんの動き方に慣れて、いつもと違う変化に気づけるようになることです。妊娠後期に、できる日に数えるだけでも、その感覚は育っていきます。

前壁胎盤だと胎動を感じにくいと聞きました。本当ですか? はい、胎盤がお腹側(前壁)にあると、クッションのようになって、胎動がやわらいで伝わることがあります。感じにくいからといって、赤ちゃんに問題があるわけではありません。ただ、その子の「いつも」がほかの人より控えめなことはあります。健診のときに前壁胎盤かどうかを聞いておくと、自分の基準を持ちやすくなります。

しゃっくりは胎動に数えますか? 胎動10回法では、しゃっくりは数えません。しゃっくりは、規則正しくピクッ、ピクッと一定のリズムで続く、横隔膜のけいれんです。数えるのは、蹴る・回る・押すといった、赤ちゃんが自分で起こす動きのほうです。しゃっくり自体は、よくあることで、心配の必要はありません。

ふだんの胎動の量や回数の目安については、胎動は何回がふつう?妊娠後期の目安もあわせてご覧ください。


出典・参考:日本産科婦人科学会による胎動・妊婦健診に関するガイダンス、厚生労働省の妊娠・出産に関する情報、産婦人科医監修の妊娠情報(ままのて)、たまひよ/ベネッセ。この記事は一般的な情報であり、あなたの妊娠を診ているかかりつけ医の判断に代わるものではありません。

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